
John Giles 氏著、The Giles Group オーナー
印刷業者にデジタル ファイルを送ると、混乱が生じる可能性があるため、印刷業者は、プロセスを標準化する新しい技術を採用するようになっています。費用を安く抑えるには、今日の印刷業者が顧客に何を求めているかを把握する必要があります。
| 対象アプリケーション |
| Microsoft Office Publisher 2003 |
顧客が作成したデジタル ドキュメントや、デジタル出版文書を、印刷業者で受け付ける方法に変化が見られます。新しいワークフローが採用されたことで、ドキュメントや出版文書をアプリケーション固有のファイルとしてではなく、PostScript または PDF (Portable Document Format) ファイルで送る必要があります。この新しいワークフローにより、コストと時間が削減されます。
顧客は出版文書やドキュメントの作成に、多様なソフトウェア プログラムを使用しています。その一方で、印刷業者のほとんどは、Microsoft Office Publisher、Microsoft Office Word、QuarkXPress、Adobe PageMaker、Adobe InDesign など、広く普及しているプログラムの一部だけをサポートすることしかできません。
印刷業者がアプリケーション固有のファイルをサポートした場合、顧客のデザイン ミスや版下の不備が原因で、いくつかの問題が発生することが予想されます。フォントが含まれていなかったり、文書内の色を正しく識別されていなかったりすると、ファイルを適切に印刷できません。印刷業者は印刷効率を上げるために、ドキュメントをページ分割したり、複数の画像を 1 枚の用紙に印刷したりしなければならないこともあります。印刷業者がすべてのソフトウェア プログラムに対応するのは難しく、このような複雑な状況が印刷コストをさらに高めています。
商業印刷の新標準となる PDF

印刷業者は、PDF 形式の長所を生かして、顧客のコストと時間の削減を図っています。PDF は、印刷対象の出版文書を保存および編集するための標準的な方法として活用できます。
ドキュメントや出版文書を PDF ファイルに変換すると、それを作成したプログラムの種類を問わず、PDF ファイルを多様なコンピュータやオペレーティング システムで簡単に画面表示したり、簡単に印刷したりすることができます。PDF は、インターネット上でドキュメントをやり取りするための一般的なファイル形式です。
印刷業者は、商業印刷向けのファイルを顧客から受け取るときのファイル形式として、PDF 形式を推奨しています。PDF ファイルには、ドキュメントや出版文書を適切に印刷するために必要な情報をすべて取り込むことができます。適切に作成された PDF ファイルであれば、印刷業者が必要とするフォントやグラフィック イメージも取り込むことができます。また、プリプレスに関する一般的な問題が発生した場合も、印刷業者の方で PDF ファイルを編集できます。
PDF ファイルを簡単に編集および操作できるソフトウェア ツールがあります。最新の印刷機器では、PDF ファイルを最大限の効率で処理できます。最近の印刷業者は、アプリケーション固有のファイルがワークフローに入ると、PDF 形式への変換を試みており、これによって新技術の長所を生かすようにしています。
その結果、ドキュメントや出版文書を PDF ファイルで送ると、通常は費用を抑えることができます。印刷業者は今でも、アプリケーション固有のファイルをサポートしていますが、PDF 形式を使用すると、印刷コストを低く抑えることができます。また、一般に、印刷業者には PDF ファイルに関する問題が発生することも少なく、固有のアプリケーションを使用するより PDF を使用した方が、問題の特定と解決にも迅速に対応できます。
コンピュータ上で印刷業者向けのドキュメントや、出版文書を作成するときは、印刷業者のワークフローの一部を担うことになります。印刷業者と緊密に連携して、ドキュメントや出版文書を印刷業者のデジタル仕様に基づいて作成することが求められます。印刷業者は、デジタル ファイルを操作するためのパラメータを構築しており、このパラメータによって、システムを介してファイルを簡単に送ることができます。印刷業者が定める手順に従っていないと、印刷の遅れやコストの増大につながる可能性もあります。
PDF ファイルを作成する 3 つの方法

商業印刷の新しい標準規格を満たすファイルは、次の 3 つの方法で作成できます。
出版文書を PostScript ファイルとして保存する

ドキュメントや出版文書を PostScript ファイルとして保存すると、印刷業者は、その PostScript ファイルを特殊なソフトウェアで PDF ファイルに変換できます。
印刷業者によっては、この方法を好む場合があります。その理由は、出力デバイス用に特別にセットアップした Distiller で PostScript ファイルを変換できるからです。また、顧客が既に使用しているソフトウェアには、出版文書ファイルを PostScript 形式で保存する機能が組み込まれているため、この方法は多くの顧客にとっても便利です。
基本的に、PostScript ファイルは、通常デスクトップまたはレーザー プリンタに送信されるコンピュータ コードであり、ページ上での画像とテキストの配置場所はこのコードで指定されます。ファイルをデスクトップまたはレーザー プリンタに送信する代わりに、ファイルを .PRN または .PS ファイルとして保存します。このファイルは、後で別のコンピュータに送信することができ、印刷業者はそのコンピュータ上で特殊なソフトウェアを使用して、PostScript ファイルを PDF ファイルに変換します。
.PRN または .PS ファイルを作成するには、コンピュータに PostScript ページ記述言語をサポートするプリンタ ドライバがインストールされている必要があります。現在のプリンタに PostScript プリンタ ドライバが含まれているかどうかは、次の方法で確認できます。
- ドキュメントや出版文書を作成するプログラムで、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックし、[プロパティ] をクリックして、[詳細設定] をクリックします。[ドキュメントのオプション] の下に [PostScript オプション] が表示されていれば、PostScript プリンタ ドライバがインストールされています。[PostScript オプション] が表示されていない場合は、PostScript プリンタ ドライバをインストールする必要があります。
Publisher には、PostScript ファイルの作成に使用できる、商業印刷用の汎用カラー PS プリンタ ドライバが含まれています。この汎用カラー PS ドライバは手動でインストールする必要があります。このプリンタ ドライバのインストール方法については、このページの「参照」のリンクをクリックしてください。
作成した PostScript ファイルを PDF ファイルに適切に変換できるように、コンピュータに特定のプリンタ ドライバを読み込むことを印刷業者から指示される場合もあります。[ファイル] メニューの [名前を付けて保存] を使用すると、印刷業者から提供されたプリンタ ドライバを選択できます。
- [名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで、[ファイルの種類] ボックスの一覧の [PostScript (*.ps)] をクリックし、[保存] をクリックします。他のプリンタの選択に関するメッセージが表示されたら、[OK] をクリックします。[ページ設定] ダイアログ ボックスの [プリンタ] で、印刷業者から提供されたプリンタ ドライバを選択します。
ドキュメントや出版文書を PostScript ファイルとして保存すると、場合によってはページ上のテキスト フローが変更され、その結果、行末やレイアウトが変更されることがあります。正しいレイアウトを維持するには、新しい出版文書ファイルを初めて開いて内容を追加する前に、[ファイル] メニューの [ページ設定] をクリックして [プリンタと用紙] タブをクリックし、適切な PostScript プリンタを選択します。出版文書ファイルを初めて開いたときに PostScript プリンタを選択することで、ファイルは印刷業者の印刷結果と同じ外観で表示されます。
最終的な印刷を行う前に、印刷業者からハード コピーまたは PDF コピーでファイルの校正刷りが提供されると思います。校正刷りは、デジタルを使用したワークフローにおいて非常に重要です。校正刷りを入念に確認して、どのような印刷結果が得られるかを正確に把握しておく必要があります。
校正刷りで変更が生じた場合は、それについて印刷業者に問い合わせます。テキスト編集に伴ってテキスト フローのやり直しが発生するような場合は、オリジナルのドキュメントに対して編集を行い、その後、新しい PostScript ファイルとして作成し直します。印刷業者も、ある程度のテキスト編集には対応できますが、オリジナルのファイルで修正することをお勧めします。
特殊なソフトウェアを使用して独自の PDF ファイルを作成する

印刷業者向けのファイルを準備する 2 つ目の方法では、ファイルを自分で変換して PDF ファイルとして送ります。
PostScript ファイルは、Microsoft Windows® のツールで作成できますが、PDF ファイルには特殊なソフトウェアが必要です。印刷可能な独自の PDF ファイルを作成するには、Adobe Acrobat Distiller を購入するか、それと同様のプログラムを購入する必要があります。
前にも説明しましたが、出版文書ファイルを変換して印刷可能な PDF ファイルを作成するには、印刷業者との共同作業が必要です。ほとんどの印刷業者は、Acrobat Distiller の既定のジョブ オプションに加え、各自で独自のジョブ オプションを設定しています (ジョブ オプションとは、フォントの埋め込みや画像の圧縮設定などの設定の集まりで、ファイルの変換方法を指定します)。このジョブ オプションをジョブ オプション フォルダに追加する必要があり、これを追加しておけば、PDF ファイルを作成するときにジョブ オプションを選択できます。独自のジョブ オプションは、商業印刷機器の固有の要件に対応するために作成されています。
Adobe Acrobat Distiller をインストールすると、多くのソフトウェア プログラムで PDF ファイルを作成できるようになります。PDF ファイルの既定値は、通常はインターネット上での使用を想定して設定されており、この値をそのまま使用しても、商業印刷向けの PDF ファイルは作成されません。PDF ファイルを作成するには、PDF ファイルの基になるドキュメントや出版文書を開き、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。PDF ファイルの作成方法の詳細については、Acrobat Distiller のヘルプ (または使用しているプログラムのヘルプ) を参照してください。
特定のプログラムで作成した PDF が印刷可能な PDF ファイルであるかどうかを印刷業者と確認します。多くのプログラムでは、インターネット上に表示および送信可能で、オフィス プリンタに出力可能な PDF ファイルが自動的に作成されますが、これと同じ PDF ファイルを商業印刷機器で印刷できるとは限りません。
お使いのソフトウェア プログラム用の操作手順を印刷業者に問い合わせます。多くの印刷業者は、自社の Web サイトに、独自のジョブ オプションと操作手順を公開しています。
PDF 自動作成プログラムを使用する

印刷可能な PDF ファイルの作成を支援する最新のサービスとして、印刷業者が顧客に提供しているのは、顧客のコンピュータに特殊なプリンタ ドライバをインストールするというものです。
この特殊なドライバによって、PostScript ファイルと、後で印刷業者に送信される PDF ファイルが自動的に作成されます。通常、自動化プログラムには、ファイルの基本情報や注文者情報が登録されたジョブ チケットが含まれています。ほとんどの自動化プログラムでは、顧客はファイルを早く転送するためにインターネットにアクセスする必要があります。
ほとんどの場合、作成した PDF ファイルを画面に表示できますが、ファイルを出力できるのは、特殊なドライバをインストールした印刷業者のみです。印刷業者は通常、PDF 自動作成プログラムで作成した PDF ファイルは出力仕様を満たしていることを前提にしており、これによって、顧客のプリプレス コストを抑えるようつとめています。
PDF 自動作成プログラムの使用方法は非常に簡単です。大きな組織においては、システムに特殊なプリンタ ドライバをインストールする必要があるため、コンピュータ システムの管理者と共にこの作業を進めることをお勧めします。プログラムのインストールはわずか数分で終わります。
顧客から PDF ファイルを受け取ることにはメリットがあるため、多くの印刷業者が、PDF 自動作成ソフトウェアを顧客に無償で提供しています。中には、そのソフトウェアを使ってファイルを送った顧客には、割引サービスを提供しているところもあります。
コミュニケーションが大切

印刷業者は、印刷の注文が簡単になることを望んでいます。ファイルが適切に作成されていないことが理由で、顧客への納期に遅れが生じたり、追加料金が発生したりすることは望んでいません。現在、PDF 形式を採用することで、印刷業者はこれらを実現できるようになりました。そして、今後の課題は、PDF のメリットを顧客に理解してもらうことです。
Microsoft Windows には、印刷業者が PDF ファイルに変換できる PostScript ファイルを作成するために必要なすべての機能が用意されています。アプリケーション固有のファイルを PDF ファイルに変換できる他のソフトウェア プログラムを購入することもできます。また、印刷業者から無償で提供される、ドキュメントを PDF ファイルに自動変換するソフトウェアを使用することもできます。
作業を始める前に、印刷業者と話し合っておけば、印刷業者向けの出版文書を簡単に作成できます。このように、印刷業者の要件と自分が満たすべき要件を把握しておくことで、印刷プロジェクトを期日までに予算内でしあげることができます。
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著者について
John A. Giles III 氏は、小規模印業者のプリプレスに関する問題を専門的に扱うコンサルティング会社 The Giles Group のオーナーです。同氏は Certified Printers International (CPRINT) のディレクタで、著作として『Digital Directions, A Digital Workflow Guide for Customer Files』および『The Digital Original: How to Handle Customer Files Without Becoming a Service Bureau』があります。また、印刷業者が顧客作成によるファイルを有利に受け付けることができるように、印刷業者向けのデジタル監査を実施すると共に、トレーニング セミナーを通じてデジタル出版物の制作に関する標準規格の啓蒙活動を行っています。同氏への問い合わせには、www.johngiles.com または john@johngiles.com をご利用ください。